STM32F3 Discoveryで電子コンパスを作ってみよう。
今回は、STM32F3 Discovery を使った電子コンパスを作成します。
STM32F3 Discovery には、STマイクロ製のLSM303DLHCというセンサーが搭載されています。
この、LSM303DLHCはSTM32F3とI2Cで接続されており、3軸の地磁気と加速度を検出することができます。
また、基板上には方角を示すような8つのLEDも搭載されています。
今回は、LSM303DLHCの地磁気センサーとLEDを使って簡単な電子コンパスを作成してみようと思います。
LSM303DLHCの地磁気センサーの使い方
LSM303DLHCの地磁気センサーは、3軸に対する地磁気を検出します。
この磁気センサーは各軸と地磁気の磁束密度を検出するようにできています。
このため、各軸が北を向いたときに最大値となり、逆(南)を向いた時はマイナスの最大値となります。
3つの軸から北を知るには、XYZの3軸で検出された磁束密度の強さをベクトル合成したものが北となります。
STM32F3 Discoveryボード上のLSM303DLHCをよく見ると、1番ピンが下向きにマウントされています。
このため、ボードの上側(USB給電/デバッグポート側)を北に向けたときに、X軸がマイナス値の最大となります。
今回の実装仕様
実装を簡単にするため、XとYだけを使うこととします。
つまり、ボードを水平にした状態での北向き検出します。
この状態で”北”と判断した方角のLEDを点灯し、他は消灯します。
計算方法
LEDは8つしかありません。
従って、LED間の角度は45です。
磁気センサーは、軸が南方向を向くと取得値がマイナスとなるので、数値の正負だけで4方向が特定できます。
このため、数値の正負で4方向を特定し、取得値の絶対値でベクトルを算出してCOS値から詳細な角度を出せばよいのですが、1方向のLEDは0度と45度と90度の3つしかないので、3つのLEDの間、22.5度(0.9238795325...)と67.5度(0.3826834323...)だけ判定できればよいことになります。
I2C通信方法
1つのデバイスですが、地磁気と加速度センサーは別々のI2Cアドレスを持っています。
地磁気センサーは書き込みが0x3C、読み込みが0x3Dです。
地磁気センサーを設定します。レジスタ、0x00に0x0C、0x01に0x20、0x02に0x00を書き込みます。
計測値は、0x03~0x08の連続したレジスタがそれぞれ、XH、XL、ZH、ZL、YH、YLになります。
読み込みは先頭の0x03を指定して6バイトを連続で読み出すことができます。
プロジェクトの生成
STM32 CubeMX を使ってプロジェクトを生成します。デフォルトの STM32F3 Discovery 設定としてもよいですが、今回必要なPINは下記のとおりです。
・I2C(Connectivity I2C1 enabled)
PB7 --> I2C1 SDA
PB6 --> I2C1 SCL
・LED(GPIO Output)
PB8 --> LD4 Blue LED
PB9 --> LD3 Red LED
PB10 --> LD5 Orange LED
PB11 --> LD7 Green LED
PB12 --> LD9 Blue LED
PB13 --> LD10 Red LED
PB14 --> LD8 Orange LED
PB15 --> LD6 Green LED
プロジェクトタブでプロジェクト名をつけて、
Toolchain/IDEにSW4STM32を選択、Generate Under Rootのチェックを外します。
"GENERATE CODE"を実行してプロジェクトを生成してください。
C/C++パースペクティブなどでプロジェクトエクスプローラーに生成したプロジェクトができていることを確認してください。
コード記述
プロジェクトエクスプローラーから、作成したプロジェクトを開きます。
Application --> User --> main.c を選択、ダブルクリックで開きます。
このソースに対して、コードを追加します。
DefineでCOS値を設定
#define COS_1 0.38268343f #define COS_2 0.92387953f |
I2Cコマンド定義
uint8_t mag_init1[] = {0x00, 0x0C}; uint8_t mag_init2[] = {0x01, 0x20}; uint8_t mag_init3[] = {0x02, 0x00}; uint8_t mag_data[] = {0x03}; |
LSM303DLHC地磁気センサー設定 メインループの前で、センサーを設定します。
HAL_I2C_Master_Transmit(&hi2c1, 0x3C, mag_init1, 2, 1000); HAL_I2C_Master_Transmit(&hi2c1, 0x3C, mag_init2, 2, 1000); HAL_I2C_Master_Transmit(&hi2c1, 0x3C, mag_init3, 2, 1000); |
メインループ
|
なんだかいろいろやっているように見えますが、LEDのON/OFFのコードがほとんどです。
使い方
STM32F3 Discoveryボードを水平に持つだけです。
LEDが大体の北を示します。
Z軸は無視しているので、ボードを立てると正しく検出できなくなります。
8つのLEDの表現でZ軸も表すのものムリかと。。。
何に使えるか?
普通にコンパスとして使う以外の使いみちとして、
・太陽光パネルの方角制御
・ロボットなどおおよその向きを知るために使う。
・鬼門除け
など、方角が関わることに利用できます。
最後に
このコンパスを使って登山しようと思う人はいないと思いますが。。。。このコンパスはLED表示解像度が低いこともあり、2つのCOS値だけで作成しています。
従って精度を上げるには、詳細な三角関数表を持つか、毎回ACOS値を求めるなど必要になります。
また、実際の磁極は真北ではないためさらに精度を上げるには補正が必要となりますが、磁極のズレに対応できるところはマイコン・コンパスならではと言えますね。
Have a Happy Hucking!!
Lightning Brains
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