契約書、ちゃんと作ってますか?

ソフトウェアを外注する、ビジネスを続けていくには必要となる場面が多々あると思います。


でも、ソフトウェアを外注する時の契約書には注意しないとならない点がいくつかあります。
今日は、契約書の内容で注意しないとならない点についていくつかお話したいと思います。


書面での契約を行う。


 えっ?とか思われる方もいるかもしれません。でも、気をつけてもらいたいのは”知り合いに発注する”ときなど口頭で約束していませんか? 何の仕事でもそうですが、うまくいっている時は問題にならないでしょう、しかし、問題になった時には『言った、言わない』になります。もう、そうなったら”四角い◯◯がまぁるく収めますぅ”のネタ状態になります。

何かあったときのためにも、些細な事でもちゃんと書面で契約を交わしましょう。

 この点については、ソフトウェアに限った話ではないので、どの様な書類を度のタイミングでやり取りすればよいか、頼れる人に聞いてみるとよいでしょう。


権利関係を明確にする。


 さて、ココからがソフトウェアに関するお話になります。発注したソフトウェアは何でしょう? スマホのアプリですか? 顧客や商品管理など社内で使うPCソフトウェアですか? それともブログなどのWebページですか?
 ソフトウェアと一口に言っても、多くの形態のソフトウェアが存在しています。そして、ソフトウェアはアプリのプログラムやHTMLのコードだけじゃありません。表示されるイラストや写真、あるいは音楽データなどもそのソフトウェアの一部とみなされます。では、出来上がったプログラムやそれらに含まれるイラストや写真、音楽データなどは誰のものでしょうか?
 もし、あるブログページを発注した時に自分のお店や商品の写真をあなたが提供したとしましょう。その写真は元々自分のモノなので、権利はあなたにあります。つまり、発注した業者は発注者が権利を有する写真を勝手に使うことはできないはずです。
 では、ブログサーバーをセットアップして、HTMLやJavascriptのコードを書き、その中にあなたが提供した写真を埋め込んで一体となったソフトウェアの権利は誰になりますか? もし、発注した業者がパッケージ・ソフトウェアを持っていてソレを買う、という場合はそのソフトウェアは相手業者ですが、依頼先で全てコーディングして作成するとしたら?

発注者の注文でカスタムメイドで作成する
ソフトウェアの権利を事前に明確化しておく必要があります。

 これらの事を明確化しておかないと、発注した側にもかかわらずそのソフトウェアの権利が業者側に渡ってしまったり、ソースコードが開示されない、或いはあなたが提供した写真が勝手に使われてしまうこともあり得ます。

 発注者側が提供するデータの権利や利用制限、出来上がったプログラムやソースコードの権利と納品形態など書面できちんと決めておく必要があります。


特許問題を回避する。


 特許で訴えられる!?あり得ない話じゃありません。もし、発注した業者が作成したプログラムが他社特許に抵触していたらどうなるでしょうか?

 まず、そのアプリを使ってビジネスをしているあなたが訴えられます。場合によっては多額の賠償金が請求される、それ以前に米国など海外からの訴訟となったっ場合には専門分野の国際弁護士を雇わなければならないので多額の裁判費用が発生します。そして、最低でもそのアプリを使い続ける事はできなくなると思われます。

 そのような事にならないためにも契約書で予め発注するソフトウェアの内容について規定しておく必要があります。そもそも、他社特許を侵害しないソフトウェアを作成すること、万一他社特許の侵害が明確になった場合の対応など双方で予め書面で合意を得ておく必要があります。


ライセンス問題を回避する。


 特許と同様にソフトウェアで気をつけていただきたいのがライセンスです。現在、ソフトウェアは非常に高度化し、ますます複雑化しています。このため、高機能なソフトウェアを作成する場合に全ての機能を実装することは現実的ではありません。つまり、一部のソフトウェアを外部から導入することを意味しています。

 この外部導入されるソフトウェアは大きく2種類あります。1つ目は、商用ライセンスのソフトウェアです。他社が販売しているパッケージ・ソフトウェアを買ってきて自分のソフトウェアに導入することです。例えば、データーベースのソフトウェアではオラクルなど有名ですね。もう一つは、オープン・ソース・ソフトウェア(以降OSSと言います)があります。この、OSSはその名の通りソースコードが公開されており、無料で利用することができます。

 ライセンス対応で気をつけていただきたいのは、OSSを導入する場合です。OSSには、そのソフトウェア・プロダクト毎に決まったライセンスが設定されています。よく知られたライセンスとしては、GNU、MIT、BSDなどがありますが、それぞれバージョンや記述の内容によって細分化されています。

 OSSを導入する場合には、利用するOSSが規定するライセンスに従った行動を取る必要があります。 例えば、OSSの元々のソースコードに手を加えた場合、ソースコードの公開をしなければならないと言ったことが上げられます。また、OSSを導入した場合の対応責任はソフトウェア制作を依頼した業者ではなく、そのソフトウェアを提供する側で責任を持たなければならないということです。

 もし、OSSライセンス違反をするとどうなるか? 訴訟を起こされます。特許問題と同様に、賠償金だけでなく、海外からの訴訟となった場合に多額の裁判費用が発生します。

 この部分についても予め書面で製作を依頼するソフトウェアの内容について決めておく必要があります。例えば「OSSを使う場合には何のソフトウェア・プロダクトを使い、どの様なライセンスが適用され、対応はどうすればよいか明確化すること」などの規定を盛り込むことをお勧めします。


長く付き合うなら、基本契約を


 もし、そのソフトウェア製作を依頼する会社/個人と長く付き合っていこうと考える場合、毎回このような細かいことを確認することはコストアップの要因となります。権利、特許、ライセンスなど基本的に守ってもらわなければならない事項については、基本契約を結ぶことをお勧めします。


余談ですが。。。


 ある日、英文のメール、或いは手紙があなたの所にやってきました。内容はあなたのソフトウェアが何らかの違反をしていると言うような内容です。英語なのでよくわからないので、しばらく放っておきました。すると、後日国際弁護士を通じて訴訟される。そんなケースが非常に多いです。
特に、ビジネスが軌道に乗り知名度が上がってきた時は注意してください。


最後に


 今日は、少し難しい内容になってしまいましたが、ビジネスでソフトウェアを利用する場合の基本と考えてください。
 もし、詳しい説明など必要でしたらご相談を。



船橋の頭脳
Lightning Brains

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